朽葉考集録

めめとちゃんの雑記帳です

「騙」を語る。(前編)

 「ぼくらが、歩くこの道が、歪んでなど、いないように。真実はきっと、そう。ただ、まっすぐに、続いているのかー」

 「わたしたちが歩いていくこの道が、歪みきってたとしても、進むしかないなら。嘘にまみれたって、生きていく道を選んでも、わたしには、それでもいいんだー」

 冒頭から凋叶棕の「騙」より、"真実の詩"と"嘘のすゝめ"からの引用である。実はこのアルバム、僕が今までに触れてきた凋叶棕のアルバムの中でも(遙を除いて)一番好きなんだな。ここから創作の着想を得ることもあるし、このアルバムに勇気をもらうこともある。

 今日はそんな、僕にとって思い出深い「騙」の話をしていきたいと思う。

 まず、このアルバムの特徴を話していこう。なんといっても最大のポイントは、「嘘」がテーマだというところ。曲以外にも様々な箇所に嘘が仕組まれている。

 その1…公式サイト
 わざわざ嘘のサイトと本当のサイトの2つが用意されている。

 その2…ジャケットとインレイ
 買ったままの状態だと、インレイの収録曲も嘘の曲名になっている。(中の人はこれで合ってるのかと店で数分間首をひねっていた)さらに、インレイ側が表になっているので、無理に開こうとしたらケースが破損…なんてこともあるとか。

 なので、ケースを分解してインレイとジャケットを裏返すことで、「霊夢が表紙、インレイに正しい収録曲」になる。凋叶棕の考察では大事な、ケースに付いている帯もリバーシブル仕様なので、この状態にもちゃんと対応している。

 

 さて、そろそろ本題に入っていくとしようか。とはいっても、曲一つ一つについて厳密な考察を書いているといつまでも終わらないので、アルバム全体の考察に留めて置きたいと思う。

 まず、「騙」の曲順をここに記載しておこう。

1.空飛ぶ巫女の不思議なくらい理不尽な毎日
2.たゆとうものとその片割れ:全員集合
3.極限生命体封獣NuE
4.いつか君を"使う"ことに思いを馳せて
5.シグナル・ベント
6.「禁言」トゥルーアドミニストレイター
7.それからのわたしたち
8.正統派佐渡の二ッ岩
9.コインいっこ入れたほう
10.てゐのクイズ☆SHOW 〜 明日はどっちだ
11.コインいっこ入れなかったほう
12.One Stormy Night
13.ナズーリン、正義を無くしてしまいました
14.なんかファンタジーアクションっぽいの作りたかったんで作ってみました
15.全ての正直者達に捧ぐ

※7番目の曲は11を横線で消したあとに7となってます。

あ、これは嘘の曲名です。正しいのはこちら↓

1.真実の詩
2.Drift
3.もっともおそろしいものについて
4.風花艶月 〜Hidden Story
5.サナエさん
6.弦奏交響曲「河童様の云う通り」
7.rebellion - たいせつなもののために
8.Entanglement
9.ALIVE←
10.貴女を幸せにするために
11.→DEAD
12.(I'm gonna eat you up!)
13.Fragile Idol- Worship
14.空中要塞「聖輦船」2F外側外壁のテーマ
15.嘘のすゝめ
 
 更に、公式サイトのジャケ絵にカーソルを合わせてみると、こんな文言が表示される…嘘のサイトでは、「はじまりは、嘘をつかれた二人」、正しいサイトでは、「おしまいは、嘘をついた一人と口を噤むもう一人」。これはつまり、"嘘のすゝめ"がはじまりで、"真実の詩"がおしまい、ということを示唆しているのではないか?

 んで、原曲なんだけども。一曲目の"真実の詩"には"童祭"と"Endless"、最後の"嘘のすゝめ"には"少女綺想曲"と"空飛ぶ巫女の不思議な毎日"が使われている。ということは、嘘をすゝめているのは霊夢ではないだろうか?ということは、嘘をついた一人は霊夢、口を噤んでいるのは魔理沙だと考えられるだろう。
 
 あと、"Endless"を知らない人も多いと思う(というか中の人も知らなかった)ので説明すると、旧作「東方怪綺談」の靈夢と魔理沙のグッドエンディングテーマだ。ちなみに、怪綺談はグッドエンディングでも異変が解決することはない。そう、「終わりがない(Endless)」なのである。
 
 …ここまで来ると、露骨にループネタっぽくないだろうか?ループだとしたら、最後の嘘のすゝめから真実の詩に戻るわけで、それはつまり、霊夢に嘘をすゝめられた聴き手(僕ら)が真実の詩に戻ってくる…「嘘をつかれた二人」の仲間入りということだ。つまり、同じ順番で曲を聴き続けても、真実に辿り着くことはない。

 そしてもう一つ。このアルバム、ジャケットに魔理沙が使われているけど、魔理沙の原曲は一曲も使用されていないのである。これは多分、魔理沙が「口を噤むもう一人」だからだと思われるけど、じゃあ、口を噤んだ魔理沙の考えはどこで知ることができるだろうか?

 …正直に言うと、僕が考察した時はここで詰んだ。袋小路だ。だけど、この状況を打開する方法は、なんとも想定外の所にあった。

 「逆再生」だ。

(後編に続く)