朽葉考集録

めめとちゃんの雑記帳です

いまさら「遙」考察シリーズ・第一回 「ささぐうた-ヒガン・ルトゥール・シンフォニー--」

 #東方Project大学同人音楽学部凋叶棕学科、という架空の学校のタグがTwitter上に作られましたが、僕はそこの自称「遙ゼミ生」です。今回は僕なりに、「遙」の一曲一曲の歌詞を考察したいと思い、この記事を書き上げました。

 第一回は「ささぐうた-ヒガン・ルトゥール・シンフォニー-」について。歌詞の一つ一つを丹念に分析し、考察させていただきました。

―――――

「嗚呼、そこな迷い子さん
どうしてこっちに来なさった」

ブックレットを見てもらえば分かると思うが、この曲は小町が魔理沙の霊に語りかける、という内容になっている。霊は会話ができないので、小町が一方的に喋る形だ。


「いつかは避け難き運命でも
遠ざかる術もあったろうに」

そして遙はレーベル文の"everything will be changed as time goes by." 要は「万物は時間と共に変化する」ということなのだが、それに沿って「幻想郷の時間がひたすらに過ぎていくとどうなるか」という内容だと僕は解釈している。


「人であり続けること
一人で生き続けること
何からも逃げなかった
その気概に、ひとつ杯を。」

この部分はつまり、魔理沙が人間のまま最期を迎えた、という事だ。ひたすらに時間が過ぎるなら、幻想郷の住人の中で真っ先に死ぬのは確かに魔理沙だろう。一曲目に相応しい内容と言える。


「冥土の土産に
唄ってやろうか
せめて、向こう岸までの餞として」

そして冥土の土産と小町は唄いだす。つまり、このあとに続くサビはその「唄」というわけだ。


「星が流れ流れ。遙。
堕ちて、挽歌。

移ろわぬ
その魂の
色のまま

生まれ変われよ」

そのまんまの意味なので比喩を言うのも野暮だと思うし、ここは各々の美的センスで受け取って欲しい。
ただ、「生まれ変わり」というのは滅びの象徴であるラストトラック、"うつろわざるもの"から続く一曲目に使われるフレーズとして考えると感慨深い物がありますね。


「いつかどこか
迎える行く末を
受け入れるが曼珠沙華

いずれ辿りつく
旅路の果てに向け
今はただ水面を揺らせ」

此処もそのままの内容だ。
ただ、「曼珠沙華」というのは彼岸花の別名でその由来は"吉兆として「天」から降る赤い花"だ。
「天」から降る花なのだ。


「嗚呼、そこな迷い子さん
とうとうこっちに来なさった

変えられぬ不器用さが
招くものだとわかってたろうに」

そして2番に入る。どうやら、霊はまだ舟に乗り込んでいなかったようだ。


「餓えて行き倒れたのか
或いは、餌食となったのか
はては、看取られ幸せな最期を
迎えられたのか。」

彼女がどのような最期を迎えたのかは、小町が知る由もなく。ただ、それでも。


「誇りある意思を
詠ってやろうか
せめて、向こう岸までの餞として」

彼女は人としてその生涯を終えたのだと、その誇りを詠ってやりうと、小町は餞の歌を唄う。


「星が流れ流れ、遙。
堕ちて、哀歌。

轟けよ
魂の歌
限りなく

遠く果てなく」

例え世の人が忘れても、死出の道行きの案内人は死者のために、その死を悼んで歌い上げる。魂の歌を。


「生けるが罪
終えるがその裁き
謹受するが曼珠沙華

じきに辿りつく
旅路の果てに向け
今はただ記憶に遊べ」

此処も書いてあるままの内容なので特に書く事は無いかな。


「遺す想いを訴えよ歌え
全てを無に帰すその前に

輪廻の輪を舞わせよ回せ
全てを有に繋ぐ為に」

綺麗な対句である。人の記憶が全て無くなっても、世界は廻り回る。無くなった想いも生まれ変わりつつ。


「星よ高く高く、遙。
昇れ、讃歌。

新たなる
その旅立ちを
臆さずに

強く歩めよ」

その上で小町はこう詠う。死を迎えても、その魂は新たなる旅立ちを迎えるのだと。一度堕ちた星も、再び昇るのだと。


「永久に続く
螺旋を描きつつ
帰する果てが曼珠沙華

全ては曼珠沙華…"「天」から落ちてきた花"に帰結する。

「星を追え
いつか
願いに恋をせよ」

「星を追え」、「願いに恋をせよ」とは"スターシーカー"ではないだろうか。メタい視点ではあるので、確実な物とは言えないけれど。


「そしてまた

いつの日か
翔けろよ、天を」

…「天」というのは凋叶棕において「原作」の比喩に近い。ましてや、この曲はさっきも述べたが、「うつろわざるもの」という幻想郷の滅びを示唆する曲から繋がる曲。最期から輪廻した、一曲目なのです。

抗いようのない滅び…そして最期に残る「天空」を、「天」を示してなお、小町は。凋叶棕は、「天を翔けろ」と言ってくるのです。

本当は、この曲の考察は最後に書きたかった。だけど、僕なりに「遙」を決算していくためには、どうしてもこの曲について書かなきゃいけなかったんです。