朽葉考集録

めめとちゃんの雑記帳です

祈りと呪い・「 /彁」を聴いて

 聴くまでに大分時間がかかったので記事を書くのも遅くなってしまったが、ある程度考えが固まったので凋叶棕の新譜、「彁」の感想を書いていこうと思う。

ただ、一曲一曲を丁寧に考察し終えたわけではないので、焦点をラストトラック「 /彁」に絞って書いていく。

いや、もちろん、DiPP,幻想少女物語,ホーカス・ポーカス,くすぶるなにか…などなど強烈なインパクトと考察しがいのある曲も沢山(というか全部)あるのだけれど、その分「下手な考察を書きたくない」というエゴが生じてしまう。

なので、後に回すということで許してほしい(何をだ)。

 さて、新譜関連の情報は自分が聴くまで遮断していたんだけど、小耳に挟んだ情報はいくつかあった。

まあ「新譜やばい」とか、謎の呪文とか、悲鳴程度なんだけど、百戦錬磨の凋叶棕好き達が悲鳴を上げるとは相当だ……と新譜の攻撃力に恐れ慄きつつ、ようやく自宅に「彁」が届いたのが1/14のことだから、割と最近だ。

 それはもう相当に興奮してケースを開いたんだけど、開けた途端にその興奮はどっかに吹っ飛んでったよ。

だってさ…ブックレットの裏が真っ白、いや、「何も描かれていない」なんて不意打ちは心臓に悪いじゃないですか…。

屠、騙、夢なんかで愉快な考察素材を提供してくれていた所に何も書いてないんですよ…? 正直、もう嫌な予感しかしない。

次に確認したのがCD外周のレーベル文。書くまでもないかもしれないけど、一応書き起こしてみよう。

(前略)
Question: Why can't we stop imagining about her?
We may have no correct answer.
Or it's just because...she is, beautiful.

内容についてはいずれ書く(と思われる)考察記事に取っておくとして、重要なのはこれが「外向きに」書いてあったという点だ。

外向きに書いてあるアルバムは確認した限りでは他に「遙」「伝」の二つで、どちらも強烈なメッセージ性のある――特に「伝」のテーマはズバリ「伝達」――盤なのだ。

つまり「彁」はそれら二つと同様「聴衆にメッセージを伝達しようとしている盤」ではないか。そう推測できる。

……前置きで「ラストトラックについて書く」と言っているのに、このままだと感想を一から十まで書いてしまいそうだ。
「 /彁」についての話に移ろう。

僕らは、それぞれ違った視点で幻想郷に接している。たまに、似たような視界を持っている人はいても、誰一人として同じ視点の人はいない。

ある特定の推しを追う人もいるだろうし、キャラ達の心の…あるいは身体の触れ合いを描写する人もいるだろう。

そして、それらの作品を見て、聴いて、品評するかのように記事を書く、僕のような人も。

音楽、文章、絵、声…手段は異なっても、自分の抱いている幻想を作品に仮託しているのは変わらない。

だけど、この「 /彁」はそれらに対してある事実を突きつけてくる。

それを文章に起こすとするなら、「何をしても、幻想少女達の在り方は変わらない。僕らの想いは幻想に届かない」といったところだろうか。

 僕らが彼女たちの物語を白紙のページに記そうとする時には、既に彼女たちの在り方は決まっている。白いインクで記されている。

僕らはその在り方を覆すことはできないし、もし覆したなら、それはもう「幻想少女」ではなくなってしまう。

例えば、霊夢。僕らは、いったいどこまでの変化だったら、霊夢霊夢として認識できるだろうか?

服の色?目の色や髪の色?能力?その基準は人によって違うのかもしれないが、こちら側の認識がどれほど歪んだところで、本来の彼女たちは決して変わらないまま、そこにいる。……天に在る。

 僕らは一次創作という幻想に対して、自らの幻想を抱いていて、それを元に新たな幻想を……"都合のいい幻想"を二次創作にしている。

「こうあってほしい」という祈りを作品に昇華させているんだ。

時には、その祈りからキャラクターが逸脱する事を許せず、祈りが「こうあるべきだ」という呪い――「STAR FOLLOWER」のような――に変わってしまう人もいるかもしれない。

でも、その呪いすらも彼女たちには届かないし、彼女は今日も、どこか遠くの幻想の空を飛んでいるんだろう。

そして、その姿がどうしようもなく美しい。
思わず手を伸ばしたくなってしまうほどに。

 RDさんはこのアルバムについて「誰にも向かない」と言っていた。聴き終わってみれば、なるほど、確かにこれは誰にも「向いていない」アルバムだ。

だって、この盤が対象に取っているのは「幻想を視ている人全て」なんだから。

とりあえず、感想としてはこんなものだろうか。いずれ考察も記事に書き上げようと思っているけど、まずは「遙」考察シリーズ完結のために頑張っていきますか…。