朽葉考集録

めめとちゃんの雑記帳です

いまさら「遙」考察シリーズ・第二回「悠久の子守唄」

 遙の根っこにはレーベル文の「everything will be changed as time goes by.」、つまり「万物は時間の経過と共に変化する」というテーマがあるという事は「ささぐうた」で解説した。

 そして、悠久の子守唄を含むトラック7〜9は、この「時間の経過」というギミックの根幹となる重要な位置付けとなるのだ。

……が、インストだったり歌詞が抽象的だったりと解説するのが難しいので、重要なポイントを切り抜いての考察と、インスト2曲の意味合いを自分なりに説明することで、この3曲の考察記事としたいと思う。


 さて、まずはトラック7、「あの日自分が出て行ってやっつけた時のことをまだ覚えている人の為に」だ。

 これは聴いてもらえればなんとなく分かると思うが、妖怪小町とともにリグル〜紫までのテーマ曲がラストワードの登場順に流れている。

タイトルから見ても、博麗の巫女が今までに戦った相手を回想している、といったところだろうか。しかも、中盤からは露骨に「悠久の子守唄」のメロディーが含まれていて、それらの戦った記憶が「悠久」の下に掻き消されていく…

という構図は深読みに過ぎるってことはないだろう。ここからの2曲も含め、「遙」が幻想郷に無限に近い時を経過させていくには、「悠久」の時が過ぎるっていうギミックが必要不可欠なんだから。



つまり、代々受け継がれる「子守唄」を元にした「博麗の巫女の代替わり」というシステムを一般化させる役目を、この曲が担っているんです。

一般化するということは、博麗の巫女の代替わりが何度となく行われるということで、それに伴って幻想郷も「遙」へと突き進んで行く。


 そして、トラック8「悠久の子守唄」。遙は時系列順に曲を配置しているとすれば、魔理沙の曲を先頭、他の妖怪の曲を間に挟んでいるのでテーマになっているのが霊夢とは考えにくい。

代々受け継がれる「博麗の巫女」に向けられた子守唄と取るのが一番妥当なのだろう。



 そして、この曲で僕が注目したのがこのフレーズ。

花の咲く頃には
天空を翔けるようになる

そう、「天空を翔ける」ようになるのだ、博麗の巫女は。"うつろわざるもの"で届かない場所とされた「遙かな見上げる天空」を、彼女、或いは彼女らは翔けるんだ。

それはつまり、「遙」がどれだけ進んでも、博麗の巫女だけは「数多の人と妖と 違う世界を生きていく」……つまり、変わらずに空を飛んでいるんじゃないだろうか。


 「 /彁」を聴いたときも思ったけれど、他の何も意に介さず飛ぶ博麗とは、凋叶棕の中では一次創作の象徴に近い。

それよりもずっと昔のこの曲でも巫女が不変の象徴となっているのは、いまさら再発見した身としても、なにか面白い繋がりを感じる。 


 もう一点、

閉じた世界の環
手繰りながら

というフレーズがあるが、この「閉じた世界の環」が限りなく加速していく「遙」における幻想郷の時間を指していると考えれば、それを「手繰る」というのはやはり、この曲が何度となく何度となく繰り返される、そして「遙」へと向かっていくということなんだろう。



 さて、トラック9「そしていつかまた出逢って」だが、改に収録されたボーカル入りver.の歌詞とイラストを参照すると、

おぼつかぬ足取り
見るだに頼りなく

その目に見て取るは
ただただ日の浅さ

とある。そして、イラストには巫女服を着た少女…というより幼女か? 新たな博麗の巫女が妖怪退治の役目を果たそうとしている、ということだろう。


もう一つ、このフレーズ。

――そしていつか出逢って いつか別離れて 全てまた廻る

やはり、この曲は巫女の代替わりを示しているということで間違い無さそうだ。新たな巫女が現れ、また去り、そして再び……それが廻り続ける。


 まとめると、この3曲においての登場する「巫女」が霊夢ではなく「博麗の巫女」に一般化されている、というのがポイントで、延々と繰り返される「時間の流れの抽象化」を達成している。

「遙」が最終的に「遙か」な「幻想郷の風景」に達する為に必要不可欠な工程と言えるだろう。凋叶棕ギミックの真骨頂とも言うべき並びなのだ。


 この3曲についてはこんな所だろう。さて、次回は「遙」のラストトラック"うつろわざるもの"の考察を、今度は"ささぐうた"と同様に歌詞1つ1つを分析して書き上げる予定だ。

僕なりに「遙」に対する結論を出したい、と思っている。


 その後はここまでで飛ばした各曲についての考察、そして僕がこの「遙」を特別な作品だと思っている理由を、改めてアルバム全体を総括しつつ書いてこのシリーズの完結に向かいたいと思う。

まだまだ長い長い道のりになると思いますが、どうぞよろしくって感じですね。

ではでは。